は、太陽光発電活用によるスマート農業の発展を目標とした研究を進めています。
主なテーマは、
- 進化型アグリソーラーシステムの開発による「作物栽培と太陽光発電の最適な融合」の実現
- 作物成長モニタリングシステムの開発と光環境などが及ぼす作物の成長・品質への影響に関する検討
です。
また、将来のより良い社会の実現のため、
- 「田園風景が映えるハイテクの街」など地方活性化に関する研究
を進め、学会等で発表してきています。
作物と農作業者のための太陽光発電システムを目指す
国土の70%を山間部が占める日本では太陽光発電所の適地は多いとはいえません。したがって再生可能エネルギー普及のためには、国土の12%を占める農地への営農型太陽光発電(注1)の導入も積極的に考えていくべきです。
しかしながら、作物へのストレス、防災上の懸念、美観保護、農地荒廃を助長する設置などなど横たわる課題への産官あげての包括的な取り組みが必要です。
また、昨今の気候変動により育つはずの作物が育たない状況も多発しています。暑い日中の日差しから作物を守り、農作業者の作業環境を少しでも改善していくことも肝要と思われます。
(注1)営農型太陽光発電はソーラーシェアリングとも呼ばれています。
海外ではAgrivoltaic(AgricultureとPhotovoltaicのドッキング)、Agri-solarなどと表記されています。
アントラボでは「進化型アグリソーラーシステム」と命名し作物と農作業者への貢献を目指しています。
進化型アグリソーラーシステムの提案
アントラボでは、作物へのストレス緩和と太陽光発電の両立を図るべく、光の連続性確保や作物成長補光などにより、圃場への適切な光の配分を実現するシステムの研究を進めています。
<解決策-1>
太陽光パネル間に反射板を敷設し、太陽の仰角に合わせて回転させることで圃場への光の連続性を向上。同時に日中には反射板を水平にして強い日差しを遮ることで、作物へのストレスの緩和と農作業環境の改善を実現。くわしくはこちら
<解決策-2>
太陽光パネル背面などに設備するLEDによる作物成長のための補光。
<解決策-3>(将来)
ペロブスカイトなど新世代太陽電池の光吸収スペクトルと植物光合成の両立。
これらの解決策の検討により、農作業環境の改善も実現するスマート農業時代の営農型太陽光発電に進化させます。
作物と農作業者のための営農型太陽光発電
それが進化型アグリソーラーシステムです。
<作物へのストレスとは>
営農型太陽光発電は、圃場へ日射と日影のインターバルを生じさせます。業界では「植物の光合成には光飽和点があり、光飽和点を超える日射は必要ない=多少の日影ができても作物の成長には問題ない」と宣伝されていますが、日射と日影の「インターバル」がある場合は、光量抑制した連続日射に比べ成長スピードが遅くなります(弊社実験済み)。
この理由は日射と日影のインターバルが気孔の開閉応答に影響を及ぼすためと推察しています。「一旦日影に入ると気孔が閉じ日射状態に戻ってもすぐには気孔が開かない可能性がある」は、ある専門家の意見です。光飽和は連続日射を前提にしていると思われ、間欠照射環境で「光飽和現象があるので日影ができても問題ない」といえるかは疑問です。
これまで、ソーラーシェアリングでの栽培作物は、あまり日射を必要としない陰性作物が中心となっており、半陰性作物、陽性作物の栽培例は多くありません(注2)。
営農型太陽光発電のさらなる普及のためには、作物の成長を担保する光の配分方法を検討し栽培可能作物を拡大する必要があると考えています。また、昨今の気候変動は作物栽培環境に大きな影響を与えるのみならず、農作業者の作業環境はさらに過酷を極めていると思われます。
(注2)営農型太陽光発電所には、通常圃場に比べ作物収穫率80%以上(一部70%以上)確保が義務付けられており、この基準を
クリアすべく多くの工夫がこれまでなされています。パネルの設置高さを高くしたりパネル積載率を抑制したり、ですが
パネル積載率を上げていくと作物へのストレスは顕著になると思われます。
スマート農業への展開
適切な営農型太陽光発電が普及することで電気を必要とするスマート農業の拡大も容易になります。
田園風景が映えるハイテクの街
スマート農業の進展で雇用の産業バランスも改善し、地方をより豊かにする目標も作りやすくなります。