ミドリムシ(学名ユーグレナ)は、バイオ燃料の原料となる藻の一種であり、バイオ燃料として使われた場合にCO2を排出するものの、培養時にはCO2を吸収固定することからカーボンニュートラルを実現する材料である。ちとせグループ、ユーグレナ社や本田技研などで研究が進んでいる。本田技研のDREAMOなど、品種の改良で培養スピードと耐久性の向上が研究されているものと思われる。
バイオ燃料としての商用化に成功しているユーグレナ社によれば、まだコストは高いようである。が、今後生産性向上の取り組みも進み、ヨーロッパでは導入は早いのではないかとも思われる。スイスなどヨーロッパ大陸の国では、島国と違って国境を越えた紛争の歴史が長く、自分たちの未来は自分たちで考え決める風土がある。スイスでは、電力料金にかかわらず、自分で電力の種類(原子力/火力、水力、太陽光など再生エネルギー)を選ぶシステムがある。このあたりの背景は、別スレッドで分析を進めていく。
現在世界中で、EVの拡大が叫ばれている。しかしながら、原子力の課題や太陽電池のリサイクル問題と同様、リチウムイオン蓄電池の産業廃棄物としての課題なども中長期的に考えていくと、レシプロエンジンの進化を安易に止めるべきではないと思っている。水素エンジンの開発や、バイオ燃料の進化には大いに期待したい。
アントラボでの藻類の開発は困難であるが、進化型アグリソーラーでミドリムシなど藻類培養工場のエネルギー効率を向上する可能性の検討を進める。
この場合の進化型アグリソーラーは、<ソリューション-2>LED補光、からアプローチし、<ソリューション-1、3>は、ミドリムシなどの光飽和を考察後、工場全体のエネルギー効率の観点で検討を進める。もっとも攪拌により反射板は不要になると思われる。培養工場ではミドリムシなど藻類に均等に光を当てる攪拌装置などが必要と思われ、エネルギー地産地消+工場内DCグリッド化などで効率よく運用できるはずである。
2023年4月8日ミドリムシ培養開始。同梱されていた「ハイポネックス6-10-5」投入により全体が青みがかっている。
まずは、間欠照明光合成実験装置における、弱光常時照射にて初期スタート、増殖後株分けを実施予定。
その後、間欠強光照射で光を増援。
2023/4/29培養中のミドリムシを顕微鏡で観察。
顕微鏡で照射された光でミドリムシも集まってくるようにみえる。
集まってくるのか、新たな細胞が生まれているのか、さだかではない。
(夏休みの理科の宿題並みにおもしろくなってきた)
細胞内の動きのようにみえるが、よく観察してみると上面に浮いているものの動きのようだ。何かがうごめいているのは間違いない。
上面に気泡も頻繁に出るようになった。酸素を吐き出しているようだ・・・
整列した光る点はLED(電源はOFFであるがかすかに点灯している。原因不明。ソリッドステートリレーでオフっているため全波整流回路へなんらかのリークがあるのかもしれない)
以降、USBカメラ(120万画素)で1日に1回撮影し、緑の度合いの変化を観察する。
2023年5月4日のミドリムシのようす
昨日ハイポニカを投入し水も増量したせいか元気そうだ。緑の大きなもの(たぶん死骸?)を背景に線虫のように動いている。(5MB越えはFTPが必要のため録画時間は4-5秒)
彼らが二酸化炭素を吸収しながら光合成をしていくわけであるが、PSII(光化学系II)では、水を分解して酸素とH+(水素イオン)を生成する。H+と電子により、電極やイオン交換膜を適切に配することで電流源としても機能する(光合成燃料電池)。つまり、二酸化炭素削減と発電の一石二鳥となる。ただし商用電力にまでになるには多くの課題が予想されるが、ミドリムシ君に効率よく働いてもらえるようシステムを改善していけば電力密度も二酸化炭素還元効率も改善する可能性がある。最終的にはバイオ燃料にもなり一石三鳥と思えるが、LCA(Life Cycle Assesment)的な評価やコストパフォーマンス、スペースパフォーマンスなど注意深く評価する必要がある。
下記は、PSII溶液抽出によるものでミドリムシ活用のシステムではないが、参考として摂南大学川上教授、松尾教授他発表の論文から図のみの抜粋である。
PSIIとは、光合成プロセスにおける前段階の光化学系IIのことである。
⇒「光合成vs光電効果(作物成長vs太陽光発電)」参照(当HP、やや漫画的な説明。信頼性ある文献は多数存在するのでくわしくはそちらを参照されたい)
2023年5月9日のミドリムシのようす
さらに拡大
(参考)ミドリムシのすじりもじり運動 :: 国立科学博物館 (kahaku.go.jp)
2023年5月12日のミドリムシ
2023年5月13日のミドリムシ
きょうのミドリムシ(2023/5/16)
ミドリムシ成長、自動モニタリング方法と課題
・水面上の二酸化炭素濃度⇒2槽比較、ラズパイでの制御プログラム完、確認予定
・溶存酸素濃度⇒確認予定。ラズパイでのデータ取得が可能か
・カメラによる緑度や透明度計測⇒差分がとれるか文献調査
・分光光度計⇒差分がどうとれるか文献調査
ミドリムシが光合成で吐き出す酸素と思われる気泡
株分けを進める。
成長が確認できれば、水の量など同一条件で2個の株分けを実施し、LED補光有り無しなどの比較実験も進める。
2023年5月19日、新居でのミドリムシ
ミドリムシが生息する溶液をアルマイト処理のない(=伝導性維持)アルミ容器に注ぎ、テスター+αで電極を設定してみた。
水など他の溶液でのORP測定との差は出るか・・・以下は、光合成反応の度合いを計測手段の探索として「見通し」を考えるためのものである。
スチールウールたわしを電極にみたて、アルミ容器と接触しないよう下にジャム瓶のふたをおいた。すると218mVの起電力を得て、数分後96.5mVまで降下した。
ミドリムシ君に選手交代(溶液を入れ替え)同様に電極を設定したが、極性が逆となった。さらにスチルウール無しでテスターのプローブを直接溶液に電極として設定したところ、500mV前後の起電力を得た(下写真左)。テスタのレンジ以下であるがときおり0.1μAが表示される。
(写真左)テスタープローブの電極表面はニッケルかスズメッキと思われるが定かではない。
(写真右)スチールウール電極の場合は極性が反転し、起電力もテスタープローブ電極の場合の半分以下。
正しい電極設定ならびにイオン交換膜の設置でH+を透過させれれば、効率よく電力が得られる可能性がある。今後の検討課題である。しかしながら、動作原理など根拠を明確にしたうえで「ミドリムシ発電!」・・・と言いたいところであるが、電流が取れない以上発電とは言い難い。この電位差は、光合成IIにおいて生成したH+とe-によるものと思われるが、上記、摂南大学川上教授、松尾教授他発表の論文から図のような機構になってはいないため、多くの電流を取り出せないのかもしれない。今後、ミドリムシ培養槽に電極を設置し、電位変化をモニタリングしていく。また交流インピーダンスも計測することで、光の変化や二酸化炭素施用有無での差などを分析していく。
この溶液をスポイドで取り出して観察してみたが、動いているミドリムシの数が若干少なくなり、止まって(死んで?)しまったミドリムシが心なしか多くなったように感じられた。(定性的観察)
2023年5月20日 電極間電位差を測定した容器内のミドリムシ君を確認、元気に泳いでいた。
ミドリムシ溶液を追加、同ミドリムシ培養液を媒質とした電極間電位差
電極に銅線を使用、電位差は680mV(写真左)
わずかながら0.1μAの電流を観測(写真右)ただし何秒かに1回0.1μAが観測される程度である。
5月26日のミドリムシ君@ORP測定容器